
この製品はエンジニア主導で素早くリリースを重ねてきたため、画面ごとに作りがばらついていました。スピードを優先した製品によくある状態です。
そのうえで、2つの課題がありました。ひとつは AI エージェント機能です。セットアップ、設定、結果の確認まで、参考にできる前例が社内になく、ゼロから設計する必要がありました。もうひとつは情報設計です。機能を足すたびに継ぎ足されてきたため、ユーザーもチームも、どこに何があるかを記憶に頼って探していました。
AI エージェントについては、見た目より先に動きのルールを決めました。エージェントが何を尋ね、いつ実行し、処理の途中をどこまで見せるか。結果だけが突然出てくるのではなく、ユーザーが納得して任せられるようにするためです。
情報設計については、まず今ある画面と機能をすべて洗い出し、そのなかから軸になる分類を見つけました。新しい体系を上からかぶせるのではなく、その軸に沿って並べ直しています。
AI エージェント機能は、ユーザーがエージェントを設定し、タスクを任せ、重要な操作や取り消せない操作を確認し、結果を受け取るまでを一続きで設計しました。どの段階でも、エージェントがなぜその判断をしたのかを見られるようにしています。最初から信用してもらうのではなく、使うなかで信用が積み上がる設計です。
情報設計は、見つけた軸に沿って製品全体を組み直しました。ナビゲーションの並びを、ユーザーが業務を頭のなかで整理している形に合わせ、新しい機能を足すときにも置き場所に迷わないようにしています。
どちらも、競合製品の調査をもとにしています。同じ課題を他社がどう解いているかを整理し、業界の慣例に合わせる部分と、あえて外す部分を決めました。
担当したのは方針と構造の設計です。そこから生まれた画面はクライアントに帰属するため、公開していません。
エージェントがデータを直接操作できるようになると、情報設計を使うのは人だけではなくなります。人はナビゲーションから構造を理解し、エージェントはツールとスキーマから理解します。
IDが変わらないこと、データ同士の関係がはっきりしていること、操作できる範囲が限られていること。この3つがそろっていれば、人もエージェントも同じ構造が使えます。
逆に、情報設計が曖昧なままエージェントを入れても、問題は解決しません。エージェントは曖昧さをそのまま引き継いで動くからです。